情報処理学会誌に掲載されていた「会議レポート DAC2019参加報告」という記事で、Microsoft社やAmazon社もDAC2019に出展していたことを知ったので、どのような内容なのか調べてみました。
EDA環境のクラウド化
記事を読んだときには、Microsoft社やAmazon社が画期的な論理合成ツールやレイアウトツールを開発したのかな?と思ったのですが、そうではなく、EDA環境をオンプレミスからクラウド化するといった話です。
- Microsoft社やAnazon社は、自社で半導体チップを開発している。
- その半導体開発には、自社のクラウドサービスを利用している。
- クラウドサービスで半導体を設計するには、開発の各フェーズに応じた最適な計算リソースの割り当てが必要になる。また、EDAツール特有の処理へのシステムの最適化が必要になる。クラウドEDAは、これらの要求を満たすことができる。
- 半導体開発ではAgility(機敏性)が重要だが、クラウドサービスで実現することができる。
Microsoft社
以下は、Microsoft社がDAC 2019で行った「Design on Cloud: Microsoft: Accelerating Silicon Design with Cloud and AI/ML」という発表です。AzureはEDAに向いていますよ、という話のようです。Azure for the Semiconductor Industryというホワイトペーパーも公開されています。
Amazon社
(DAC2019ではありませんが)以下の、AWS re:Invent 2019: Leadership session: AWS for the Semiconductor industry (MFG206-L)というビデオによると、Amazon社は、自社で毎年複数のシリコンをテープアウトしているそうです。また、その開発は100%AWSクラウドで行われており、AWSクラウドでRTLからGDS2を作成しているそうです。
- AWS Gravitionプロセッサ
- AWS Inferentia機械学習推奨チップ
- AWS Gravition
AWSのホワイトペーパーも公開されています、タイトルは「AWS での Electronic Design Automation (EDA) ワークフローの最適化」です。
Google社
Google社もDAC2019でDAC 2019 | Design on Cloud: Google’s Story of Moving EDA to Cloudという発表を行っています。ビデオの中でTensor Processing UnitやCloud TPUといったGoogle社が開発した製品が紹介されていることから、これらの製品はGoogle Cloud上のEDAで開発されたようです。